ダイハツハイゼットのクラッチ交換

車検で入庫した整備車両です。平成22年ダイハツハイゼットバンS331Vです。
前からクラッチの調子が悪いとのことなので具体的に話を聞いてみると、たまにクラッチがすぐつながる時がある、ギヤが入りにくい時があるという症状でした。いづれも停車時に起こるということです。
実際に試乗してみると一度だけ症状が出ました。クラッチペダルを目いっぱい踏み込んだところからすぐにクラッチがつながる感じです。
クラッチペダル・クラッチワイヤーに異常が見当たらないので、やはりクラッチ本体に何か異常があるのだと思います。

走行距離がもう10万キロすぎていることもあるので、点検もかねてクラッチ交換をすることになりました。

ハイゼット クラッチ交換

まずはバッテリーのマイナス端子をはずします。

運転席をめくっての作業。バキュームスイッチングバルブをはずします。

ハイゼット クラッチ交換

バキュームスイッチングバルブの下にカバーがあるのではずします。

トランスミッションにかぶっているので、ガソリンパイプのブラケットをはずして横にずらします。

ハイゼット クラッチ交換

リフトを上げてスターターをはずします。トランスミッションの右側、バッテリー電源とスタート信号のコネクタ、取り付けのボルト2本です。

スターター横のコネクター2か所と奥のアース線、配線の結束を1か所はずします。

ハイゼット クラッチ交換

トランスミッション後部のアース線も忘れずはずします。

トランスミッションの左側、シフトケーブル・セレクトケーブルのリンク部、ケーブルブラケットのボルト2本、4WD切換用のバキュームホースをはずします。

ハイゼット クラッチ交換

フロント側のプロペラシャフトは長すぎるので抜いてしまいます。フロントデフとの接続ボルト4本、センターベアリング取り付けボルト2本をはずし抜きます。
トランスファーからはオイルが出てくるので素早く仮フタをします。

ハイゼット クラッチ交換

リア側のプロペラシャフトを切り離しておろしておきます。リアデフとの接続ボルト4本のみです。

ハイゼット クラッチ交換

クラッチワイヤーの調整ネジをゆるめて押し込んで、レリーズレバーからクラッチワイヤーの引っかけをはずします。クラッチワイヤーベースの取り付けボルト2本をはずしてトランスミッションからクラッチワイヤーを抜き取ります。

ハイゼット クラッチ交換

4WD切換用バキュームスイッチングバルブのコネクターを2か所と配線の結束を1か所はずします。

バキュームの逃げホースを2か所はずします。

ハイゼット クラッチ交換
ハイゼット クラッチ交換

トランスミッションとエンジンをつなげているボルト8か所をはずします。

ミッションジャッキをセットして、トランスミッションを吊っているマウントボルトとマウンティングブラケットをはずします。

ハイゼット クラッチ交換

トランスミッションをエンジンから引き抜いておろします。
これでクラッチまわりを点検出来ます。

レリーズベアリングです。クラッチカバーのスプリングを押す部品です。
年数通りの使用感はあるものの、極端な異常はありません。

ハイゼット クラッチ交換

レリーズベアリングとレリーズフォークをはずしたところ。
ピボットとレリーズベアリングの摺動部は異常なし。クラッチディスクの摺動部がけっこうサビています。

ハイゼット クラッチ交換

こちらはエンジン側についているクラッチカバー&クラッチディスクです。

ハイゼット クラッチ交換

レリーズベアリングが押すところが少し摩耗していますが、異常な感じではないです。
奥にクラッチディスクが見えます。

ハイゼット クラッチ交換

クラッチディスクをインプットシャフトに差し入れてみます。サビているので動きがシブい。今回のクラッチ違和感の原因はこのサビかな?一番可能性があります。

ハイゼット クラッチ交換

フライホイールは異常なし。

ハイゼット クラッチ交換

交換するクラッチ3点セット。クラッチカバー・クラッチディスク・レリーズベアリングの3点です。
一般的にクラッチ交換ではこのセットを交換することになります。

ハイゼット クラッチ交換

インプットシャフトのサビを落として薄くグリスを塗ります。クラッチディスクがスムーズに動くようになりました。

ハイゼット クラッチ交換
ハイゼット クラッチ交換

クラッチディスクのセンター出し工具をセット。これがないとトランスミッションがエンジンにうまく入りません。

ハイゼット クラッチ交換

フライホイールにクラッチカバー・クラッチディスクを取り付けます。

ハイゼット クラッチ交換

レリーズベアリングをセット。摺動部には薄くグリスを塗ります。

ハイゼット クラッチ交換

ピボット部がしっかり入っているか必ず確認します。

ハイゼット クラッチ交換

あとは逆の手順でトランスミッションを取り付けます。
車検整備後、試乗して不具合が出ないか確認しましたが、一度も再現はありませんでした。
お客様に説明をして様子を見てもらうことにしました。

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ブログ担当の山下でした。

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